沈まぬ太陽、恩地元. 彼こそまさに昭和のラスト・サムライ. 己の信念を絶対に捨てない、己への信義を絶対に忘れない、そして己への信頼をも絶対に裏切らない、最もサムライらしい男. そんな男の半生を描いたこの叙事詩映画は昭和という時代の空気を知らない若い世代には退屈な映画かも知れませんが、個人的にはこれぞ日本映画にしか描けない力作だと思います. 労使交渉で絶大なる信頼を得た労組委員長を務めたばかりに報復人事を受け、会社に振り回される人生を送った恩地元という男の人生に、 『クライマーズ・ハイ』 でも描かれた御巣鷹山の航空機事故を絡めて描いたこの映画. まずこの映画で特筆すべきなのはタイトルロールまでのOPシーン. 墜落する飛行機に偶然乗り合わせた様々な家族の物語が端的に巧く描かれているのですが、この様々なドラマがあったということ自体がこの映画に独特の叙事詩的彩りを与えてくれているように思えるんです. というのもこの映画が単なる一人の男の会社に振り回されるだけの半生なら、このOPはもっと簡単でよかったはず. でもここに520人分のドラマがあったということが描かれることで、いろんな人のいろんな人生ドラマが絡んでくることで一人の人間の人生ドラマが構築される. だからこそどんな人生もドラマティックなんだということが読み取れてくるんですよね. 裏切る行天、牙を抜かれた八木、悩み苦しみ続ける美樹、夫を理解しようと静かにもがく妻りつ子、父に理解を示す息子や理解できずに苦しむ娘、利権にひた走る堂本や八馬などの経営陣、政治的介入を図る利根川や竹丸などの政治家、お遍路周りをする阪口を始めとする遺族、そしてもう一人のサムライ・国見会長など、いろんな人のいろんな人生ドラマが恩地元の人生に絡んでくるからこそ、そこに恩地元という一人の男の生き様が生まれる. UGGクラシックトール 恩地元という一人のラスト・サムライの信念が垣間見れる. これが同じ働く男としてはたまらなく格好よくも見えてくるんですよ. 昨今のJR西日本関連のニュースを見ていてもそうですが、信念という名の刀を失くしたサムライはどんなに資産を持っていても本当に格好悪いです. バイオハザード』15周年記念サイトがオー やはりサムライはどんな時代でも「刀」を持ってこそ価値のある存在. 野生のライオンのように輝きを放つ存在. だからこそその「刀」で誰を守り、どの敵を討つのか. 「刀」を持たぬ者は沈んでいく太陽. 未来に待っているのは終わりのない暗闇だけ. 「刀」を持つ者は恩地元と同じように沈まぬ太陽. どんな場所にいようと人の心を熱くし、どんな暗闇がやってこようとも必ず訪れる未来に希望を照らしてくれる. そんな壮大なる人生叙事詩を話題性よりも実力重視で集められた日本の名優たちが見事に紡いで織り成してくれているところも見所のこの力作映画. きっとこの映画を見れば日本映画界もまだまだ沈まぬ太陽だということを実感できるのではないでしょうか. そして個人的にはこの作品が遺作となった 山田辰夫さん の名悪役ぶりも沈まぬ太陽のごとく、いつまでも記憶に残りそうなくらい素晴らしかったです. 深夜らじお@の映画館 も沈まぬ太陽でいたいです.